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中島敦再読してみた・獣人Yahoo

2009年06月28日 12:17

明日から雨だそうで、蒸し暑いです。
調子がよかったり悪かったり日ごとに違う感じで、相変わらずだらだら毎日を過ごしてしまっています…。


以前バイトに向うバスの中、テスト前の学生さんがどうやらその日のテストに出題されるのか、『山月記』について問題をだしあいっこしていたのを聞いてフトなつかしくなり、高校時代以来、中島敦を再読してみてみました。
歳を重ねて読むとズッとこころに響きました。

主人公李徴は、官吏となるより詩人として百年の名を残すことを目指すも、自分の力量を信じるが故に、また力量のなさを露呈するのを恐れるが故に人の下につくことを良しとせず、自らの力のみを頼みにした。だが名はあがらず結局生活のため地方官吏となるが、莫迦にしていた同輩はみな高名をなし、自分が心の中であざけっていた人々に頭を下げることに耐えられず、ついには発狂し虎と化してしまう。
「──人間は誰でも猛獣使いであり、その猛獣にあたるのが各人の惰性だという」
日々虎になっていく自分を恐れ、だが自分の中からすっかり人間のこころがなくなってしまい、虎になってしまった方が自分は「しあわせ」になれるであろうと言う。しかしだからこそ人間のこころをなくすことを心底おそれている。
自分の心境をうちあけ、最後に残された妻子のことを、かつての友人に頼む。
けれども自分が人間であれば自分の果たせなかった夢や思いを語るより、まずなにより妻子のことを気にかけるべきであったのに、と行って虎は藪に身を隠す。


中島敦という作家は有名だと思っていたけど、亡くなった時はほぼ無名だったそうです。
おまけに若くしてなくなっているので作品も少ないのですが、今回読んだ中にも生きるとはどういうことか、という深い悩みが常に根底に感じられます。
中国故事からは特に男性の生き様を、実際に赴任した南洋の島々をモチーフにした話では女性がメインだったり、日本が植民地とした被植民地の人の視点から描いたり、と知識人らしく実に広い視点で描かれています。
経歴をみると英語もでき、ラテン語ギリシア語も学び、中国故事だけでなく南洋の島々やアッシリアを舞台にした話もあり、引用は多岐にわたり、和歌はもちろん漢文もおもいのまま、という。
この時代の知識人って半端ないすね…。


しかし正直この人もしやウツ病気味だったのでは?と思うところがありました。
『かめれおん日記』という随筆の中には(当時は女学校の教師として勤務)、「実際、近頃の自分の生き方のみじめさ、情けなさい、うじうじと内向し、くすぶり、我と我が身を噛み、いじけ果て、それでなおうすっぺらなシニシズムだけは残している。こんなはずではなかったのだが、一体、どうして、またいつ頃からこんな風になってしまったのだろう? (略)ともかくも自分は周囲の健康な人々と同じではない。もちろん挟持をもっていうのではない。その反対だ。不安と焦燥をもっていうのである」。
まぁ後世に名を残した人も多大な苦労があったと思うのですが、「打ち込めるような生活、あるいは仕事をもっていない」ことでの「不安・焦燥」をもっていたというのはシンプルに驚きました。
人の基本的な思いはいつの時代もどんな人もさして変わらないのかもしれませんね…。

「西遊記」をモチーフに、「かめれおん日記」で描かれた作者のように不安と激しい自己呵責と後悔に悩まされる悟浄が、三蔵法師たちの仲間になる前に道を求めてあらゆる仙人をたずねてまわる話があります(『西遊記』といえば大昔のドラマのイメージが強すぎて…ガンダーラ~の)。
「すべての苦しみから解放され、無我の境地にいたれば、苦しみはなくなるが、よろこびもまたなくなる」という仙人の言葉にはなるほど~とうなずきました。
どっちか一方だけなくしたいと、そううまくはいかんのですね。


はっとした文章。
「全く、私、私、と、どれだけ私がえらいんだ。そんなに、しょっちゅう私のことを考えてるなんて」(『かめれおん日記』)

…すいません、こんなチョー凡人の私もしょっちゅう考えています…ッ。


全体的に漢文調の文章が硬質で好みです。
見慣れない単語が多くて慣れるのに時間を要しますけれども…。あとしんどい時はアタマにはいりません…。今はこういうかたっくるしいのは好まれないのかしらん。
「オリオンの上には馭者座(カペラ)だの、紅いアルデバランだの、玻璃器に凍り付いたような水滴のようなすばるだのが、はっきり姿を見せている」

ほんの数十年前の星空を想像してみます。


あ!Yahooの語源てガリヴァー旅行記からきてたんですね。全然しりませんでした。
「或る時はスウィフトと共にこの地球のYahoo共をば憎みさげすむ」ってあって。
なにゆうてはるんやろ、つかまだこの時代ネットないし、と思って調べてみたら。
「ガリバー旅行記に登場する獣人Yahooが人にかわって何かと利便をはかってくれるところから、インターネット利用者に奉仕するための検索エンジンという意味あいで命名された。」ですって。
意外と皮肉?な命名ですなぁ…ヤッホー!っとかそんなノリのテンション高い名前かとおもてました…(すんません)。


このちくま文庫からでてる全集、時々図書館でかりるんですけど、文庫サイズで持ちはこびも軽く、字の大きさもちょうどよく、註も同じページにあって読みやすく、非常に気軽に読める「全集」で「ちょっと近代文学でもよもっかな」って時にオススメです。
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